木造中高層ビルについて
近年、国内における豊富な森林資源が活用期を迎えるとともに、木造建築技術は飛躍的に進歩し、鉄骨造・鉄筋コンクリート造が主流だった大規模・中規模の建物にも木造が採用され、木の温もりやデザイン性を活かした施設が続々と都市部へ建設されています。こうした木造を採用する動きが加速化していることに伴い、耐火技術・構造技術も急ピッチで開発され、人と環境に優しい「木造都市づくり」が実現しつつあります。
森林資源を建築物として森から都市部へ循環利用することは、既存の製造インフラを活用し地域経済の活性化、地方創生にも貢献します。
木材活用のメリット
―森と都市の緑の循環を生む―
木は二酸化炭素(CO2)を吸収して成長するため、木材を使った建築物は地上に長くCO2を固定化します。
また、木はある程度成長するとCO2の吸収量が低下するため、適切な時期で伐採を行い、森に新たな木を植えるという「緑の循環」が重要です。そして森で生産された木材を都市部で活用させる循環を上手く取り入れることにより、森を保全すると同時に持続的な資源の供給に繋がります。
―国産材による地方創生―
地域の山林から木材を調達、加工し、それらを用いて中高層・大規模木造建築をつくることで、地域経済の活性化を促し、地方創生の原動力となります。国産材の自給率向上は新しい市場の創出と都市景観の改善に繋がり、人と環境に優しい街並みの実現になると期待されています。
―「都市の木造化推進法」の施行について―
森林資源の活用と都市の木造化・木質化の実現の為、2019年4月に「森林(もり)を活かす都市(まち)の木造化推進議員連盟」、5月には同協議会が発足されました。
そして、2010年に制定された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」は、2021年6月に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律(通称:都市の木造化推進法)」として改正、同年10月に施行されました。2050年のカーボンニュートラル社会の実現を目指して、公共建築物だけでなく民間の建築物にも積極的に木材を活用し、森林の適正な整備や木材自給率の向上を後押しするものです。